ナースコール対応|介護職と看護職の連携
介護施設で利用者からの「呼び出し」を受ける手段として、ナースコール(介護コール)が標準装備されています。鳴るタイミング・優先順位の判断・看護職への連絡判断は、介護職員の現場判断力が問われる業務です。
この記事では、ナースコールの種類、コール頻度の実態、優先順位の判断軸、記録、職員のメンタル負荷対策まで網羅的にまとめます。
ナースコールと介護コール
医療施設はナースコール(看護師呼び出し)、介護施設では介護コール(呼び出しベル)と呼ばれることが多いですが、機能はほぼ同じです。
ナースコールの種類
- ベッドサイドコール:枕元のボタン
- 居室コール:部屋のドア横などのボタン
- トイレコール:トイレ内のボタン
- 浴室コール:浴室内のボタン
- ペンダント型:首掛けで持ち歩き型
- 離床センサー連動:ベッドからの離床で自動発信
最近は職員の動きながら受信できるインカム型・スマホ通知型も普及しています。
コール頻度の実態
特養や有料老人ホームでの夜勤帯は、職員1人で30名見守る中で1時間に5〜15件のコール対応が発生します。
コールの内容
- トイレ介助希望(最多)
- 体位変換要望
- 痛み訴え
- 不安・寂しさ
- 体調不良
- 落ち物・落下物拾い
- 飲み物・水分要求
- 緊急(転倒・呼吸異常)
すべてのコールに優先順位を付けて対応する判断力が、介護職員の専門性として問われます。
優先順位の判断
複数のコールが同時に鳴った時、迷わず動けるかが介護職員の力量です。
優先順位の基本ルール
- 緊急性(転倒・呼吸異常・出血)→ 即対応
- 排泄(失禁前)→ 5分以内
- 痛み訴え → 5〜10分以内
- 不安・寂しさ → 10〜15分以内
経験を積むと「この利用者のコールは緊急性が高い」「この方は不安を解消する声かけだけでいい」という個別判断ができるようになります。
看護職への報告基準
介護コールの中で看護職連絡が必要なケースを判断する力も、介護職員の専門性です。
即看護職連絡が必要なケース
- バイタル異常(発熱38度以上、SpO2 90%未満)
- 出血・嘔吐・意識レベル低下
- 呼吸異常・チアノーゼ
- 急な強い痛み訴え
- 転倒で痛みあり
観察継続でよいケース
- 普段と変わらない訴え
- 不安・寂しさによるコール
- 排泄介助希望
施設で報告基準を明文化し、新人にも理解しやすい形で共有することが重要です。
コール対応の記録
すべてのコール対応はケース記録に残します。誰のコールに何時に対応したか、内容と対応を時系列で記録します。
記録の例
- 21:30 A様コール、トイレ誘導、無事完了
- 22:15 B様コール、痛み訴え、看護職に連絡、解熱剤服薬指示
- 23:00 C様コール、不安訴え、声かけと水分提供で落ち着く
事故が発生した場合、コール記録は事実確認と再発防止の重要資料となります。
過剰コール利用者への対応
不安や見守り欲求から繰り返しコールする利用者がいます。1晩に20〜30回コールするケースもあり、夜勤職員のメンタルを削ります。
対応の方向性
- 傾聴と環境調整(夜間照明・音楽・ぬいぐるみなど)
- 日中の活動量を増やして夜の睡眠の質を改善
- 認知症ケア(BPSD対応の研修受講)
- ご家族・ケアマネと相談しケアプラン見直し
- 見守りセンサーで「コール前のトイレ誘導」
「コールが多い利用者は問題」ではなく「不安や生理的欲求のサイン」と捉える視点が、ケアの質を上げます。
コール体制の見直し
業務改善の一環として、コール対応体制を見直す施設が増えています。
改善策
- 見守りセンサー導入で「コール前の対応」を実現
- インカムで職員間連絡を即時化
- ナースコール集計分析で頻発時間帯・利用者を特定
- 夜勤体制の見直し(2人体制・センサー併用)
コール頻度のデータを基にした業務改善が、職員の負担軽減と利用者の安心の両立につながります。
コール対応のメンタル負荷
夜勤中の連続コールはストレス源です。集中して仮眠している時に鳴るコール、複数同時のコール、過剰コール利用者の対応——介護職員のメンタルへの負荷は確実にあります。
メンタル負荷軽減の工夫
- チームでの相互支援(夜勤帯の応援体制)
- リーダーの定期巡回
- 夜勤明けのデブリーフィング
- 産業医面談・職員相談窓口の活用
施設として職員のメンタルを守る制度を機能させることが、長期定着につながります。
まとめ
ナースコール対応は、介護職員の現場判断力・看護職連携・記録力が総合的に問われる業務です。優先順位の判断、報告基準の遵守、記録の徹底、過剰コール利用者への専門的対応——日々の積み重ねがケアの質を作ります。
業務改善の観点では、見守りセンサー・インカム・夜勤体制見直しでコール対応の負荷を減らす取り組みが進んでいます。職員のメンタルケアも含めた総合的な対応が、介護現場の質を高めます。
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最終更新日: 2026-04-29
執筆: こえば編集部 介護ライターチーム