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介護職と看護師の連携|チームケアの実務

介護施設は、医療と介護が交わる場です。介護は生活全般、看護は医療面、それぞれの専門領域が明確に分かれるため、日常的な連携が不可欠になります。多職種チームでケアを成立させるには、双方の専門性を尊重しながら、適切な情報共有とタイムリーな相談が求められます。

この記事では、介護職と看護師の連携の実務を、報告基準・申し送り方法・医療処置の境界・カンファレンス・看取り期の連携まで網羅的にまとめます。


連携が必要な理由

介護施設で看護職と介護職が連携する場面は、日々数多く発生します。

主な連携場面

  • バイタル異常時の判断
  • 服薬管理
  • 医療処置(点滴・経管栄養・吸引等)
  • 急変対応
  • 看取り期のケア
  • 退所・入院判断
  • 家族説明
  • ケアプラン作成

それぞれの場面で介護職と看護職の役割分担と情報共有が必要です。


看護職への報告基準

介護職員から看護職へ報告すべきケースを、施設で明文化することが重要です。

即報告が必要なケース

  • バイタル異常(発熱38度以上、SpO2 90%未満、血圧異常)
  • 嘔吐・下痢・血便
  • 出血(外傷・吐血・下血)
  • 意識レベル変化(普段と違う反応の鈍さ)
  • 強い痛み訴え
  • 呼吸異常
  • 服薬拒否・服薬ミス
  • 転倒(部位・痛み・腫れの確認)

経過観察でよいケース

  • 普段と変わらない訴え
  • 軽い不調(微熱・食欲低下等)で他症状なし
  • 夜間の不眠(認知症の周辺症状)

報告基準を明文化することで、新人介護職員も判断軸を持てます。


申し送りの方法

介護職と看護職の申し送りは、複数の手段を重複させて伝達漏れを防ぎます。

申し送りの手段

  1. 対面申し送り(朝夕の引き継ぎ時)
  2. 記録(SOAP・経過記録)
  3. 電子カルテ・ICT記録ツール
  4. インカム(リアルタイム連絡)
  5. 申し送りノート(紙の引き継ぎ簿)

これらを組み合わせて、確実に情報が伝わる仕組みを作ります。

申し送りで伝えるべき項目

  • バイタルの推移
  • 食事量・水分量
  • 排泄回数・性状
  • 睡眠の質
  • 服薬状況
  • 異常・特記事項
  • ご家族からの伝言

医療処置の境界

医療処置は原則として看護職の業務領域ですが、研修修了介護職員には一部の医療処置が認められています。

介護職が実施可能な医療処置

  • 喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内):介護職員等による喀痰吸引等研修修了者
  • 経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻):同上

「医行為ではない医療補助行為」(2005年厚労省通知)

  • 体温・脈拍・血圧測定(電子血圧計に限る)
  • パルスオキシメーター装着
  • 軽微な創傷処置(絆創膏貼付等)
  • 軟膏塗布(褥瘡部位を除く)
  • 湿布貼付
  • 点眼薬の点眼
  • 内服薬の介助(本人が自己管理可能な場合)
  • 坐薬挿入
  • 鼻腔粘膜への吸入薬噴霧
  • 爪切り(疾患を有さない場合)
  • 口腔ケア(歯ブラシ・舌ブラシ等)

看護職に依頼すべき業務

  • 注射(全種類)
  • 点滴の管理(刺針後の管理は看護職)
  • 褥瘡の処置(医師の指示・看護師実施)
  • インスリン注射

境界の判断は介護現場での重要な専門性で、何ができて何ができないかを正確に把握できることが、介護福祉士の専門性の一部を構成しています。


カンファレンスでの役割

多職種カンファレンスでは、各職種の専門性を活かした情報共有とケア方針の決定が行われます。

介護職員の役割

  • 生活全般の様子(食事・排泄・入浴・睡眠・コミュニケーション)
  • 本人の発言(嗜好・希望・不安)
  • 家族の意向(面会時の情報)
  • ADLの変化(自立度の上下)

看護職の役割

  • バイタル変動・健康状態
  • 服薬の効果・副作用
  • 医療処置の状況
  • 医師との連携情報

リハビリ職の役割

  • 機能訓練の進捗
  • 転倒リスク評価
  • 移乗・歩行の自立度

役割分担を明確にすることで、深いケアが実現します。


看取り期の連携

看取り期は、看護職と介護職の連携が最も濃密になる時期です。

看取り介護加算取得施設での連携

  • 医師の死亡確認
  • 看護職のエンゼルケア
  • 介護職員の家族支援(声かけ・付き添い)
  • 葬儀社への連絡(相談員)
  • 退所手続き(相談員)

看取り期のケアの流れ

  1. 医師による予後告知
  2. ご家族への意思確認
  3. 看取り介護計画の作成
  4. ターミナルケアの実施(苦痛緩和・体位変換・口腔ケア)
  5. 死亡時対応(医師確認後、エンゼルケア)
  6. 葬儀社引き渡し
  7. 家族へのグリーフケア

看取り期は介護職員の専門性が最も発揮される場面で、看護職との緊密な連携が品質を決めます。


看護職とのトラブル回避

医療職と介護職の権限格差・立場差を感じる場面は、介護現場でしばしばあります。

トラブルの典型例

  • 「介護職の意見は聞いてもらえない」
  • 「看護職に下に見られる」
  • 「報告したのに対応してもらえなかった」
  • 「医療処置の境界で揉めた」

回避のためのコツ

  1. 記録の正確性(具体的な客観事実)
  2. 申し送りの徹底(複数手段で重複)
  3. 専門用語の確認(共通言語で会話)
  4. 礼儀ある態度(プロ同士の連携)
  5. 介護職の専門性を言語化(認知症ケア・生活全般・家族支援)

プロとしての連携文化を双方で築くことが、長期的なチームケアの質を決めます。


地域医療との連携

訪問介護・看多機(看護小規模多機能)などでは、地域医療チームの一員として動きます。

地域連携の主な相手

  • 訪問診療医
  • 訪問看護ステーション
  • 地域薬局
  • ケアマネ事業所
  • 地域包括支援センター
  • 病院(入退院支援)

これらの地域医療資源と介護職員が情報共有することで、在宅利用者の生活が支えられます。


まとめ

介護職と看護師の連携は、報告基準・申し送り・医療処置の境界・カンファレンス・看取り期で日々発生します。それぞれの専門性を尊重し、適切な情報共有とプロとしての態度が、チームケアの質を作ります。

介護職員として連携を上手に行うには、自分の専門性(認知症ケア・生活全般・家族支援)を言語化し、看護職に対しても堂々と意見できる経験と知識を積むことが大切です。


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最終更新日: 2026-04-29
執筆: こえば編集部 介護ライターチーム

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