介護職の有給取得率|現実と取得しやすい施設
「介護現場では有給が取れない」と聞くことがあります。一方で、有給取得率90%超の優良施設も存在します。施設の運営方針・人員配置・経営姿勢で、有給取得率は大きく変わります。
この記事では、介護職員の有給取得率を、実態・年5日取得義務・取得しやすい施設の特徴まで網羅的に解説します。
介護職員の有給取得率
業界平均
介護労働実態調査では、有給取得率約60%(年付与日数のうち)。
全産業との比較
全産業平均約57%(2022年厚労省調査)。介護業界は同水準〜やや上。
施設形態別
- 特養:60〜70%
- 老健:55〜65%
- 有料:50〜60%
- GH:65〜75%(夜勤専従多い)
- デイ:75〜85%(日勤のみ)
- 訪問介護:65〜75%
施設の人員配置・運営方針で大きな差。
有給休暇の法的ルール
付与日数
労働基準法第39条で、勤続6か月で10日付与。年次に応じて段階的に増加。
- 6か月:10日
- 1年6か月:11日
- 2年6か月:12日
- 3年6か月:14日
- 4年6か月:16日
- 5年6か月:18日
- 6年6か月以上:20日(最大)
年5日取得義務
2019年4月から、年10日以上付与の労働者に対して、施設は年5日の取得を義務化。違反は罰則対象。
時効
2年。2年経過すると権利消滅。
時季変更権
施設側は「事業の正常な運営を妨げる」場合に時季変更権を行使可能。ただし完全な拒否ではなく、別の時季を提案。
介護現場で有給取れない理由
理由1:人員配置基準ぎりぎり
3:1配置で運営する施設は、有給取得で人員不足が顕著に。
理由2:シフト調整の困難
複雑なシフトで有給を入れる余裕がない。
理由3:同調圧力
「みんな取らないから」という雰囲気。
理由4:申請しにくい雰囲気
主任・施設長が嫌な顔をする。
理由5:急な休みへの対応
体調不良で取らざるを得ず、計画的な取得ができない。
取得しやすい施設の特徴
1. 計画年休制度
施設が計画的に有給取得日を設定する制度。
- 一斉年休(GW・お盆等)
- 個別計画年休(誕生日休暇等)
2. 人員配置に余裕
3:1配置より手厚い施設は、有給取得しやすい。
3. ICT勤怠管理
有給残日数が見える化され、施設側も計画的に管理。
4. 経営者の方針
「有給取得率80%以上」を目標とする経営者。
5. 労働組合の存在
労働組合が有給取得を促進。
年5日取得義務の運用
施設の義務
- 年10日以上付与の労働者全員
- 付与日から1年以内に5日取得
- 取得状況の管理・報告
違反時の罰則
- 30万円以下の罰金
- 行政指導・勧告
介護施設の運用例
- 計画年休で5日確保
- 個別申請+不足分は計画年休
- 5日未取得者には施設が指定
計画年休の活用
計画年休の種類
一斉年休
GW・お盆・年末年始の業務縮小期に施設全体で休業。
個別計画年休
誕生日休暇・記念日休暇など、職員ごとに計画。
計画年休の制限
労使協定で年5日を超える計画は不可(個人申請枠を5日確保)。
計画年休のメリット
- 取得率向上
- 職員のワークライフバランス
- 施設の業務安定化
有給取得の交渉
申請のタイミング
- 1〜2か月前に申請
- シフト調整に余裕を持つ
申請の伝え方
「○月○日と○日に有給を取りたいです」と具体的に。理由は問われないのが原則。
拒否された場合
- 別の日程を提案
- それでも拒否なら労基署相談
- 退職時の有給消化は施設側が拒否不可
連続休暇の取得
連続休暇の例
- 5日連続(1週間休み)
- 7日連続(海外旅行可能)
- 10日連続(長期帰省)
連続休暇取得のコツ
- 早めの申請(2〜3か月前)
- シフト調整に協力
- 引き継ぎの徹底
長期休暇は、有給取得率の高い施設で実現可能です。
ライフイベント時の有給活用
結婚
結婚休暇+有給で連続休暇。
出産
産休+育休+有給で復帰準備。
子育て
子の看護休暇+有給で対応。
親の介護
介護休暇+有給で柔軟対応。
自分の体調不良
有給で病気休暇に充てる。
有給取得率の確認
求人票での確認
- 「有給取得率○%」明記
- 「計画年休制度あり」
- 「リフレッシュ休暇」
面接での質問
- 「平均有給取得率は?」
- 「計画年休制度はありますか?」
- 「連続休暇は取れますか?」
入職後の確認
- 給与明細の有給残日数
- 勤怠管理システム
有給取得の体験談
28歳・特養(取得率70%)
「年20日付与で14日取得。GW・夏休み・年末年始の計画年休と、誕生日休暇で確実に取れています。」
35歳・有料(取得率55%)
「年18日付与で10日程度の取得。希望日に取りにくい時もあるが、年5日義務はクリアできています。」
42歳・GH(取得率85%)
「GHは取得率高め。年20日付与で17日取得。子どもの行事に合わせて柔軟に休めます。」
有給取得率を上げる戦略
戦略1:取得しやすい施設に転職
求人票で取得率を確認。
戦略2:計画年休制度のある施設
確実に5日以上取れる仕組み。
戦略3:ICT勤怠管理導入施設
有給残日数の可視化で計画的取得。
戦略4:労働組合のある施設
組合経由で取得促進。
戦略5:同僚との連携
互いに代替勤務で有給取得をサポート。
有給取得を阻む施設の対応
違法・違反のサイン
- 年5日取得義務を満たさない
- 退職時の有給消化拒否
- 申請に対して「人手不足」を理由に常に拒否
- 有給取得を理由にした不利益扱い
これらは労基法違反で、労基署への相談対象。
改善が見込めない場合
転職を検討。働きやすい施設は確実に存在します。
まとめ
介護職員の有給取得率は業界平均60%程度ですが、施設形態と経営方針で大きな差があります。年5日取得義務・計画年休制度・人員配置に余裕のある施設では、取得率80%以上も実現可能です。
有給取得は労働者の権利として確実に行使し、ワークライフバランスを実現してください。取得しにくい施設は、ICT勤怠管理導入施設・労働組合のある施設への転職を検討しましょう。
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最終更新日: 2026-04-29
執筆: こえば編集部 介護ライターチーム