特定行為研修とは|看護師ができる医療行為の拡大
「特定行為って何?」「医師の働き方改革で看護師の役割が広がる?」——多くの看護師が気になるテーマです。特定行為研修は2015年に始まった制度で、看護師の業務範囲を拡大する重要な変化。
この記事では、特定行為研修について、38項目の特定行為・取得方法・期間・年収アップ効果まで網羅的に解説します。
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目次
特定行為研修とは
制度の概要
医師の包括指示に基づき、特定の医療行為を看護師が実施できる制度。
開始
2015年10月施行。
目的
- 医師の働き方改革
- 看護師の役割拡大
- 医療現場の効率化
修了者数
全国で約12,000人(2024年末時点)。
38項目の特定行為
21区分・38行為
区分1 呼吸器(気道確保に係るもの)
- 経口・経鼻気管挿管チューブの位置調整
区分2 呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)
- 侵襲的陽圧換気の設定変更
- 非侵襲的陽圧換気の設定変更
- 人工呼吸管理下での鎮静薬の投与量調整
- 人工呼吸器離脱
区分3 呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)
- 気管カニューレの交換
区分4 循環器
- 一時的ペースメーカーの操作・管理
- 一時的ペースメーカーリードの抜去
- 経皮的心肺補助装置の操作・管理
- 大動脈内バルーンパンピングからの離脱
区分5 心嚢ドレーン管理
- 心嚢ドレーンの抜去
区分6 胸腔ドレーン管理
- 低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定
- 胸腔ドレーンの抜去
区分7 腹腔ドレーン管理
- 腹腔ドレーンの抜去
区分8 ろう孔管理
- 胃ろうカテーテル・腸ろうカテーテル・胃ろうボタンの交換
- 膀胱ろうカテーテルの交換
区分9 栄養に係るカテーテル管理
- 中心静脈カテーテル抜去
- 末梢留置型中心静脈注射用カテーテル(PICC)挿入
区分10 創傷管理
- 褥瘡または慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
- 創傷に対する陰圧閉鎖療法
区分11 創部ドレーン管理
- 創部ドレーンの抜去
区分12 動脈血液ガス分析関連
- 直接動脈穿刺法による採血
- 橈骨動脈ラインの確保
区分13 透析管理
- 急性血液浄化療法における血液透析器・血液透析濾過器の操作・管理
区分14 栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連
- 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
- 脱水症状に対する輸液による補正
区分15 感染に係る薬剤投与関連
- 感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与
区分16 血糖コントロール
- インスリン投与量の調整
区分17 術後疼痛管理
- 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤投与・調整
区分18 循環動態に係る薬剤投与
- 持続点滴中のカテコラミンの投与量調整
- 持続点滴中のナトリウム・カリウム・クロール投与量調整
- 持続点滴中の降圧剤の投与量調整
- 持続点滴中の糖質輸液の投与量調整
- 持続点滴中の利尿剤の投与量調整
区分19 精神・神経症状に係る薬剤投与
- 抗けいれん剤の臨時の投与
- 抗精神病薬の臨時の投与
- 抗不安薬の臨時の投与
区分20 皮膚損傷に係る薬剤投与
- 抗癌剤等の皮膚漏出時のステロイド剤の局所注射・投与量調整
区分21 透析に係る薬剤投与
- 急性血液浄化療法における抗凝固薬の投与量調整
特定行為研修の取得条件
条件1 看護師免許
条件2 看護師経験
5年以上が望ましい(必須ではない)。
条件3 研修受講
指定研修機関での研修。
条件4 修了試験合格
知識・技術の評価。
研修の内容
共通科目
- 臨床病態生理学
- 臨床推論
- フィジカルアセスメント
- 臨床薬理学
- 疾病・臨床病態概論
- 医療安全学
- 特定行為実践
区分別科目
各区分の特定行為に関する知識・技術。
実習
実際の医療現場での実践。
研修の期間
1区分のみ
8か月程度。
複数区分
1〜2年。
21区分全て
2年以上。
受講形態
- 集中型: 短期間
- 分散型: 働きながら
研修の費用
受講料
- 50〜100万円(機関による)
- 1区分あたり10〜30万円
病院の支援
- 一部または全額補助
- 出張扱い
自費の場合
教育ローン活用。
特定行為研修の年収アップ
資格手当
月3〜8万円。
年収アップ効果
年36〜96万円。
取得後の年収
- スタッフ修了者: 600〜750万円
- 管理職併設: 750〜900万円
投資回収期間
3〜5年。
特定行為研修のメリット
メリット1 業務範囲の拡大
医師の包括指示で実施可能。
メリット2 専門性の証明
業界での認知。
メリット3 給与アップ
月3〜8万円の手当。
メリット4 患者対応の幅
タイムリーな処置。
メリット5 医師との関係性
対等なチーム医療。
メリット6 キャリアの広がり
転職での評価。
特定行為研修のデメリット
デメリット1 経済的負担
50〜100万円。
デメリット2 時間的負担
8か月〜2年。
デメリット3 責任の重さ
医療行為への責任。
デメリット4 病院の体制
実施できる体制が必要。
デメリット5 機関の地理的制約
研修機関が限られる。
特定行為が活躍する場面
ICU・救命救急
- 人工呼吸器の設定変更
- 動脈ライン確保
- 鎮静剤投与調整
急性期病棟
- 創傷の壊死組織除去
- カテーテル交換
訪問看護
- 在宅での医療行為
- カテーテル管理
在宅療養支援診療所
- 訪問医の包括指示で対応
特定行為研修の体験談
ICU看護師
35歳/ICU10年目で取得
“人工呼吸器の設定変更を自分で実施できるように。患者対応が迅速になり、医師からの信頼も大きい。”
訪問看護師
40歳/在宅医療の特定行為
“カテーテル交換を訪問先で実施できるように。利用者の負担(通院)が減り、QOL向上に貢献。”
救急看護師
32歳/救急外来
“動脈ライン確保が自分で可能に。緊急時の対応スピードが向上。”
認定看護師併設
38歳/集中ケア認定看護師+特定行為
“認定看護師資格と特定行為研修の両方を取得。年収100万円アップで850万円超え。”
特定行為研修と認定看護師
統合の動き
2020年から、認定看護師教育課程と特定行為研修が一体化された分野が登場。
A課程(統合)
- 認定看護師 + 特定行為研修
- 期間: 1年
B課程(従来)
- 認定看護師のみ
- 期間: 6か月〜1年
A課程のメリット
両方の資格を効率的に取得。
特定行為研修に向く看護師
向く特徴
- 急性期領域の経験
- 医療行為への関心
- 学習意欲高い
- 責任を引き受ける覚悟
向きにくい特徴
- 慢性期中心の経験
- 医療行為への抵抗
- 経済的余裕なし
- 病院の支援なし
特定行為研修の取得後のキャリア
キャリア1 ICU・救命救急の中核
専門領域での活躍。
キャリア2 訪問看護のリーダー
在宅医療の高度化。
キャリア3 認定看護師併設
スペシャリストとして。
キャリア4 大学病院での活動
教育・指導役。
キャリア5 海外活動
国際協力。
特定行為研修の医師との関係
包括指示の理解
医師の包括指示の範囲内で実施。
医師との対話
- 患者状態の共有
- 判断の根拠
- 結果の報告
信頼関係の構築
特定行為の実施で医師との信頼向上。
特定行為研修と医療現場の変化
医師の働き方改革
医師業務の一部を看護師に移管。
看護師の役割拡大
医療行為の幅が広がる。
チーム医療の進化
役割分担の最適化。
患者へのメリット
タイムリーな対応。
研修機関の選び方
国の指定研修機関
- 大学病院
- 大規模民間病院
- 専門教育機関
選び方の軸
- 希望区分の対応
- 通学距離
- 受講料
- 病院の連携
研修機関の確認
厚労省ホームページで一覧を確認。
特定行為研修の今後
修了者の増加
2024年で1万人超え、今後も増加。
区分の拡大
新しい特定行為の追加検討。
医療現場での活用
ICU・救急以外での活躍。
医療政策との連携
地域医療への貢献。
特定行為研修取得を支援する病院
大学病院
- 研修費補助
- 出張扱い
- 実施体制
大規模民間病院
- 部分的な補助
中小病院
- 支援は限定的
訪問看護ステーション
- 在宅医療での活用が期待
特定行為研修取得への準備
準備1 経験年数の確保
5年以上の臨床経験。
準備2 病院の支援確認
費用・時間の補助。
準備3 研修機関の選定
希望区分・通学距離。
準備4 経済的準備
50〜100万円。
準備5 学習開始
事前の知識習得。
準備6 家族との対話
長期研修の理解。
よくある質問(FAQ)
Q. 特定行為研修は誰でも受けられる?
A. 看護師資格があれば受講可能。経験5年以上が望ましい。
Q. 38行為すべて取得すべき?
A. 自分の専門領域に必要な区分のみで十分。
Q. 修了後の年収は?
A. 月3〜8万円の手当で年36〜96万円アップ。
Q. 認定看護師と両方取得?
A. A課程で同時取得可能。または別々に取得。
Q. 病院が支援しない場合は?
A. 自費取得、または支援病院への転職を検討。
Q. 修了後、医師の役割を奪う?
A. 医師の包括指示の範囲内で実施。役割分担の進化。
まとめ
特定行為研修は、看護師の業務範囲を38項目の医療行為まで拡大する重要な制度です。修了者は2024年末で約12,000人、今後も増加します。
ICU・救急・訪問看護で特に活躍する道で、月3〜8万円の年収アップ、専門性・キャリアの広がりが大きなメリット。経験5年以上+研修8か月〜2年で取得可能。経済的・時間的負担はありますが、看護師の新しい可能性を開く強力な資格です。
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最終更新日: 2026-04-29
執筆: こえば編集部 看護師ライターチーム