介護職の転職理由ランキング|本音と建前
介護労働実態調査では、介護職員の離職率は14.4%(2023年度)。年間で5〜6人に1人が職場を変えている計算になります。転職理由には「本音」と「面接で伝える建前」の2つがあり、それぞれの実態を知ることで、自分の転職判断と次の職場選びに活かせます。
この記事では、介護職員の転職理由を本音と建前の2軸でランキング化し、現役介護福祉士の声を交えて解説します。
転職理由ランキング(本音編)
介護労働実態調査・転職経験者ヒアリングを基にした本音の転職理由トップ10。
1位:人間関係の問題
職員間の人間関係・主任との相性・お局問題が約30%で最多。「人間関係を理由にした転職」は介護業界で常に上位です。
2位:給与への不満
加算未取得施設・処遇改善加算配分の不公平・夜勤手当の低さなど、給与水準への不満が約25%。
3位:夜勤の負担
身体的負担・生活リズムの乱れ・夜勤回数の多さで約20%。
4位:将来不安
施設の経営不安・自分のキャリアの先行き不安が約15%。
5位:結婚・出産・家族の事情
ライフイベントに合わせた転職が約12%。
6位:体力的限界
腰痛・慢性的な疲労が約10%。
7位:介護観の不一致
施設の方針と自分のケア観が合わないが約8%。
8位:残業・休憩取れない
労働環境への不満が約7%。
9位:キャリアアップの停滞
昇進機会が見えない・教育投資がないが約6%。
10位:利用者・家族からのストレス
モンスター対応で疲弊が約5%。
複数該当する場合も多く、「決定打」となる理由は人によって異なります。
転職理由ランキング(建前編)
面接で伝える建前としての転職理由は、ポジティブに変換した内容です。
1位:キャリアアップのため
「より専門性を高めたい」「認知症ケアを学びたい」「ケアマネを目指したい」など。
2位:介護観の合致
「貴施設のユニットケアの理念に共感」「個別ケアに力を入れている貴施設で経験を積みたい」など。
3位:家族の事情・通勤事情
「結婚で配偶者の勤務地に近い施設へ」「子育てとの両立で家から近い施設へ」など。
4位:資格取得を活かしたい
「介護福祉士を取得したので、専門性を活かせる施設へ」「ケアマネ取得後のキャリアステップとして」など。
5位:新たなチャレンジ
「これまでの経験を、より大規模/小規模/専門性の高い施設で活かしたい」など。
これら建前の理由は、「ポジティブな志望動機」として伝えます。前職の悪口にならないようにすることが基本です。
本音と建前の使い分け
履歴書・職務経歴書では建前
書類選考では、ポジティブな志望動機・キャリアアップ志向を強調します。
面接では建前を主軸に、軽く本音
「前職の課題」「自分なりに工夫したこと」「次の職場でどう活かすか」をセットで伝えると、本音もバランスよく伝わります。
例:「前職では夜勤体制の見直しに参加しましたが、組織として変えるのが難しかった。次は働き方改革の進んだ施設で、自分の経験を活かして貢献したい。」
採用後は本音を活かす
入職後は、本音の課題意識を活かして職場改善・自分の成長につなげます。
転職理由を整理する方法
転職を考え始めた時、自分の本当の理由を整理する方法。
1. 5W1Hで具体化
- いつから不満を感じるようになったか
- どこに(誰に)不満を感じるか
- 何が一番きついか
- なぜそれが起きるか
- 自分はどう対処してきたか
- どう変えたら満足できるか
2. 改善可能性の判定
- 同じ施設内の異動で解決可能か
- シフト調整で改善するか
- 上司との対話で変わるか
- 自分のスキルアップで変わるか
- 転職しないと変わらないか
「改善可能なら転職前にやってみる」「不可能なら転職」の判断軸を持ちます。
3. 次の職場で何を求めるか
転職するなら、何を改善したいかを明確化します。
- 給与:月収+5万円以上
- 夜勤:月8回以下
- 通勤:30分以内
- 教育体制:プリセプター制度あり
- キャリア:ケアマネ取得支援あり
これらを優先順位付けして、施設選びの軸にします。
転職タイミング
転職に向く時期
- 介護福祉士取得後(資格を活かせる施設へ)
- 5年経験+ケアマネ取得後(管理職への道)
- 結婚・出産前後(両立できる施設へ)
- 子育て一段落後(キャリアアップ志向の施設へ)
- 50代でセカンドキャリア検討時
転職に向かない時期
- 入職直後3か月以内(スキル・実績不足)
- 妊娠中(産休育休制度のない施設は厳しい)
- 大きな失敗・トラブル直後(感情的判断のリスク)
転職判断は冷静な時期に行います。
介護転職の体験談
28歳・特養→GH
「特養の身体介助の密度に追いつけず、認知症ケアに興味があったのでGHへ転職。9名×ユニットでなじみの関係が築けて、自分には合っていました。年収は20万円下がりましたが、メンタルが安定。」
35歳・有料老人ホーム→施設内ケアマネ
「ケアマネ取得後、現場介護からケアマネへキャリアチェンジ。同じ法人内なので人間関係はそのまま、業務内容だけ変わりました。年収50万円アップ。」
42歳・特養→訪問介護
「子育てがひと段落して訪問介護へ。1日4軒の訪問で生活リズムが整い、子育てとの両立がしやすい。年収は同水準。」
50歳・施設長→独立開業
「施設長を10年経験し、独立して訪問介護事業所を開業。3年で年収1000万円。経営は大変ですが、自分の理念を実現できる楽しさがあります。」
転職時の落とし穴
1. 給与だけで判断
加算配分・賞与・退職金まで含めた総額で判断。月給だけでは見えない差があります。
2. 求人票だけで判断
施設見学・職員ヒアリング・面接での質問で、現場の実態を確認します。
3. 焦って決める
「早く今の職場を辞めたい」で決めると、次でもまた同じ問題に直面します。
4. 同じ問題を持ち越す
人間関係を理由にした転職で、新しい施設でも同じ問題が起きることも。自分の対人スキルも振り返ります。
まとめ
介護職の転職理由は、本音(人間関係・給与・夜勤等)と建前(キャリアアップ・介護観・家族事情)で異なります。本音を整理しつつ、建前として伝える術を身につけることで、転職活動をスムーズに進められます。
転職判断は冷静な時期に、改善可能性を検討してから。次の施設選びでは、自分の優先順位を明確にして総合判断することが、満足できる転職の鉄則です。
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最終更新日: 2026-04-29
執筆: こえば編集部 介護ライターチーム