介護職の介護休業|親の介護との両立
「自分が介護職員なのに親の介護も…」——介護現場で働く人にとって、親の介護は他人事ではありません。介護休業制度を活用しながら、親の介護と自分の仕事を両立する戦略が必要です。
この記事では、介護職員の介護休業制度を、法定の期間・分割取得・給付金・親の介護対応まで網羅的に解説します。
介護休業制度の概要
法的根拠
育児・介護休業法に基づく労働者の権利。
対象家族
- 配偶者(事実婚含む)
- 父母(義父母含む)
- 子
- 兄弟姉妹
- 祖父母・孫(同居・扶養者)
取得可能期間
対象家族1人につき通算93日(3か月)まで。3回までの分割取得可能。
介護休暇
別途、年5日(対象家族1人)、年10日(対象家族2人以上)。半日単位・時間単位で取得可能。
介護休業給付金
制度
雇用保険から支給される、介護休業中の生活支援。
給付額
休業前給与の67%相当。
例
月給25万円の場合:
– 1日あたり:25万円÷30日×67% = 5,583円
– 介護休業93日:約52万円
これが介護休業中の生活基盤になります。
支給要件
- 雇用保険加入1年以上
- 介護のための休業
- ハローワーク経由の申請
介護休業の取得タイミング
タイミング1:要介護認定直後
親の介護が必要になった直後、初期対応のため。
タイミング2:症状の急変時
入院・手術・退院支援のため。
タイミング3:看取り期
最期の時間を共に過ごすため。
3回まで分割取得可能なため、これらのタイミングを使い分けます。
ダブルケアの実態
ダブルケアとは
子育てと親の介護を同時に行うこと。
介護職員のダブルケア
自分が介護職員でありながら親も介護する状態。
ダブルケアの増加
少子高齢化で40〜50代の女性に多い。
親の介護と自分の介護の両立
メリット
- 介護の知識がある
- 介護施設・サービスの活用が分かる
- ケアマネとの連携がスムーズ
デメリット
- 自分の業務+親の介護で疲弊
- 介護の現場と家庭で気持ちの切替困難
- 自分のメンタル消耗
知識があるからこその辛さもあります。
介護休業の活用法
戦略1:急場凌ぎ
入院・退院時の数週間を介護休業で。
戦略2:介護施設の手配
特養・有料・GHへの入所手続き期間。
戦略3:在宅介護の体制作り
訪問介護・デイ・訪問看護の手配。
戦略4:看取り期の専念
最期の時間に集中。
93日(3か月)を計画的に分割活用。
介護休業の手続き
申請のタイミング
休業開始日の2週間前まで。
申請書
- 介護休業申請書(施設のフォーマット)
- 対象家族の状況証明
- 要介護認定書のコピー(あれば)
給付金申請
- ハローワーク経由
- 賃金月額証明書(休業開始時届出書)
- 対象家族証明
介護休業中の経済設計
収入の変化
- 給与:なし(施設からは原則支給なし)
- 介護休業給付金:給与の67%
- 月給25万円なら月約16.7万円
支出
- 親の介護費用
- 通院費
- 介護用品
- 自分の生活費
経済的余裕
介護休業中は給与の67%しかないため、貯蓄を取り崩すか、家族で支援を分担。
介護休業以外の対応
短時間勤務
介護のための時短勤務(1日6時間)を3年以内まで。
フレックスタイム
始業・終業時刻の柔軟化。
テレワーク
介護現場では限定的だが、事務系業務は可能な施設も。
介護休暇
突発的な対応に年5〜10日。
これらを組み合わせて、長期的に親の介護と仕事を両立。
親の介護施設選び
介護職員ならではの視点
- 加算I取得施設
- 離職率の低さ
- ケアの質
- 看取り対応
親の希望尊重
- 自宅で看取りたい→在宅介護サービス
- 施設で過ごしたい→特養・有料
- 専門的なケアを→老健・介護医療院
自分の介護経験を活かして親に最適な環境を選びます。
親の介護のキャリアへの影響
キャリアへの影響
- 一時的な業務負担減
- 介護休業期間のキャリア停滞
- 復帰後のキャッチアップ
介護経験の価値
- 家族支援の業務に活きる
- 施設選びへの理解
- 利用者・家族への共感
ダブルケアの経験は、介護現場でのケアの質向上にもつながります。
介護休業の体験談
38歳・介護職員10年目・母の介護
「母が脳梗塞で倒れ、介護休業93日を取得。給付金月17万円で生活しながら、母の特養入所を手配。3か月の集中対応で、職場復帰しました。」
45歳・主任介護福祉士・父の看取り
「父の終末期に介護休業30日を取得。職員でありながら父の介護に専念できた経験は、その後の看取り介護加算施設での仕事に活きています。」
50歳・介護職員・両親の介護
「両親の介護で介護休業を分割取得。職場の理解もあり、3年間に分散して合計90日。同時に時短勤務も併用。介護福祉士のキャリアを継続中です。」
介護休業を取得しやすい施設
大手介護グループ
- 制度充実
- 取得実績多い
- 復帰サポートあり
社会福祉法人
- 介護への理解深い
- ダブルケア職員への配慮
- 長期勤続を重視
中小施設
- 対応が施設による
- 経営者の方針が大きい
介護休業中の心構え
心構え1:無理しない
完璧な介護を目指さず、できる範囲で。
心構え2:プロの活用
ケアマネ・訪問介護等の専門職と連携。
心構え3:家族との分担
兄弟姉妹・配偶者と役割分担。
心構え4:自分の健康管理
介護うつ・介護疲労に注意。
心構え5:長期視点
職場復帰後も親の介護は続く。長期戦略で。
まとめ
介護職員の介護休業は、法定93日間+分割取得で、親の介護に対応できる制度です。介護休業給付金で生活費の67%を補填しながら、急場凌ぎ・施設手配・看取り対応など、計画的に活用してください。
介護職員ならではの介護知識・施設選びの目を活かして、親に最適なケアを実現できます。ダブルケアの経験は、その後の介護キャリアにも活きる貴重な財産です。
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最終更新日: 2026-04-29
執筆: こえば編集部 介護ライターチーム