介護職ベースアップ等支援加算|2022年改定の影響
「ベースアップ加算」は、2022年から始まった全介護職員対象の月9千円相当の賃上げ加算です。岸田政権の「公的価格の引上げ」政策の一環で導入され、介護職員の給与底上げに貢献しています。
この記事では、ベースアップ等支援加算の仕組み・効果・他加算との違いを解説します。
ベースアップ加算の概要
制度の正式名称
介護職員等ベースアップ等支援加算
開始時期
2022年2月(2022年10月から本格運用)
目的
岸田政権の「経済財政運営と改革の基本方針2021」に基づく、公的価格の引上げ政策。介護職員の月収9千円相当の引上げを実現。
ベースアップ加算の特徴
全職員対象
特定処遇改善加算と異なり、全介護職員(常勤・非常勤・パート問わず)が対象。
月9千円相当の改善
法人としての加算原資で、月9千円相当の引上げを実施。
賃上げの3分の2以上を基本給・毎月の手当に
加算原資の3分の2以上を、基本給または毎月の手当として支給する義務。賞与だけに反映する形は不可。
賃金改善計画の策定
施設は賃金改善計画を作成し、行政に報告する必要があります。
加算原資の使い方
基本給への反映
恒久的な月給アップとして基本給に組み込み。最も透明性が高い形。
毎月の手当として支給
「ベースアップ手当」「賃金改善手当」として明示的に支給。
賞与への上乗せ
加算原資の3分の1以下を賞与に反映。
施設によって支給形態が異なるため、入職前に確認します。
他加算との違い
処遇改善加算(I・II・III)との違い
- 処遇改善加算:介護職員のみ対象、月3.7〜1.5万円相当
- ベースアップ加算:介護職員のみ対象、月9千円相当
特定処遇改善加算との違い
- 特定加算:リーダー級重点、月8万円相当
- ベースアップ加算:全職員一律、月9千円相当
3つの加算の組み合わせ
加算I取得施設+特定加算+ベースアップ加算の3層で:
– 処遇改善加算:月3.7万円
– 特定加算(リーダー級対象者):月8万円
– ベースアップ加算:月9千円
– 合計:月最大12.6万円アップ
これらをすべて活用できる施設は、年収150万円アップが現実的です。
ベースアップ加算の効果
介護職員全員への影響
特定加算の対象外でも、ベースアップ加算は全員対象。月9千円のアップは確実です。
パート・非常勤への影響
時間按分での配分。月勤務時間に応じて支給。
新卒・第二新卒への影響
入職1年目から対象。介護業界への参入を促進する効果。
長期勤続者への影響
リーダー級の特定加算と組み合わせで、合計月10万円以上のアップが可能。
ベースアップ加算の取得要件
施設の取得要件
- 処遇改善加算I・II・III いずれか取得
- 賃金改善計画の作成
- 計画書の行政への提出
- 賃金改善実施報告
賃金改善計画の内容
- 改善対象職員
- 改善方法(基本給・手当・賞与)
- 改善額の合計
- 加算原資の使い方
施設にとっても事務負担はありますが、職員給与のために重要な制度です。
ベースアップ加算による給与シミュレーション
介護福祉士5年目の例
- ベースアップ加算前:月給25万円
- ベースアップ加算後:月給25.9万円(9千円アップ)
- 年収換算:約11万円アップ
介護福祉士10年目主任の例
- ベースアップ加算前:月給32万円
- ベースアップ加算後:月給32.9万円
- 特定加算もあれば:月給40.9万円(月8.9万円アップ)
- 年収換算:約100万円アップ
パート登録ヘルパーの例
- 月勤務60時間の場合
- ベースアップ加算前:月給9万円
- ベースアップ加算後:月給9.5万円(時間按分で5千円アップ)
ベースアップ加算の確認方法
求人票での確認
- 「ベースアップ等支援加算対応」
- 「全職員月9千円賃上げ実施」
- 「賃金改善計画開示」
面接での質問
- 「ベースアップ加算の配分ルールは?」
- 「基本給への反映はどうなっていますか?」
- 「賃金改善計画書を見せてもらえますか?」
これらに具体的に答える施設は、透明性が高い優良施設です。
ベースアップ加算と長期キャリア
給与水準の底上げ
ベースアップ加算で介護職員の給与水準が業界全体で底上げされ、他産業との格差が縮小。
人材確保への効果
新卒・第二新卒の介護業界参入を促進。長期的な人材確保に貢献。
業界イメージの改善
「介護は給料が安い」という業界イメージが徐々に変化。
介護報酬改定との連動
3年に1度の介護報酬改定で、ベースアップ加算も継続・拡大される見込み。
ベースアップ加算の課題
課題1:施設の経営圧迫
加算原資以上の賃金改善を求められる場合、施設経営が圧迫される。
課題2:他職種との不公平感
介護職員のみ対象のため、看護・栄養・事務職員との不公平感が発生。
課題3:配分の透明性
加算配分のルールが不透明な施設では、職員の不満が蓄積。
課題4:加算未取得施設の取り残し
処遇改善加算未取得施設は、ベースアップ加算も対象外。職員の給与差が拡大。
加算未取得施設の対応
加算取得への移行
加算未取得施設は、要件を整備して加算取得を目指すべき。
取り残された職員の選択肢
- 加算取得施設への転職
- 施設に加算取得を要望
- 労働組合の活用
加算未取得施設で長く働くことは、長期的にマイナスです。
2024年介護報酬改定の影響
加算の一本化
2024年4月の介護報酬改定で、処遇改善加算が一本化(I/II/IIIに集約)。ベースアップ加算は継続。
加算原資の拡大
加算原資の拡大で、介護職員の月給アップが継続。
配分ルールの厳格化
賃金改善計画の透明性・実施状況の報告が厳格化されました。
これらは介護職員の処遇改善が継続的に進む方向性を示しています。
ベースアップ加算の体験談
28歳・特養介護福祉士5年目
「ベースアップ加算で月給25万円から26万円に。年12万円のアップは大きく、家計が楽になりました。基本給に組み込まれて、賞与も上がりました。」
35歳・GHユニットリーダー10年目
「処遇改善加算I+特定加算月8万円+ベースアップ加算月9千円で、年収100万円以上アップ。10年の経験が報われました。」
50歳・有料パート介護職員
「パート登録ヘルパーですが、時間按分でベースアップ加算月3千円。年4万円のアップで、家計の支えになっています。」
まとめ
ベースアップ等支援加算は、介護業界の給与底上げに貢献する制度です。月9千円相当のアップは、全介護職員対象で恒久的な賃上げ効果があります。
処遇改善加算・特定加算と組み合わせることで、月10万円以上のアップも可能。加算取得施設を選ぶことが、給与水準の底上げに直結します。
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最終更新日: 2026-04-29
執筆: こえば編集部 介護ライターチーム