看護師の試用期間とは|本採用との違いと注意点
「試用期間中って解雇されやすいって本当?」「給料は本採用より低いの?」——転職時に多くの看護師が抱える不安です。試用期間は、病院側が看護師の適性を判断する期間ですが、看護師側にも職場との相性を見極める機会。仕組みを理解することで、入職後の不安を減らせます。
この記事では、看護師の試用期間の仕組みを、本採用との違い・給与・社会保険・解雇リスク・試用期間中の心構えまで網羅的に解説します。これから入職を控えた方、試用期間中で不安を感じている方に向けた実務情報です。
あわせて読みたい
目次
試用期間とは
基本的な仕組み
試用期間は、本採用前にお互いの適性を確認するための期間。病院側は採用判断、看護師側は職場との相性を見極めます。
期間
3〜6か月が一般的。中には1年というケースも。
法的位置づけ
「解約権留保付き労働契約」と呼ばれ、本採用前の特殊な雇用契約。
試用期間中の権利
正社員としての権利の多くは認められます(給与、休暇、社会保険等)。
試用期間と本採用の違い
違い1 給与
- 試用期間中: 本採用より5〜10%減額のケースあり
- 本採用後: 規定通りの基本給
違い2 賞与
- 試用期間中: 賞与の対象外、または減額
- 本採用後: 通常通り支給
違い3 解雇のしやすさ
- 試用期間中: 比較的容易(ただし合理的理由が必要)
- 本採用後: 厳格な解雇要件
違い4 退職金
- 試用期間中: カウント外のケースあり
- 本採用後: 勤続年数に算入
違い5 配属
- 試用期間中: 仮配属、本採用時に変更の可能性
- 本採用後: 確定的な配属
試用期間中の給与
一般的な水準
正社員給与の90〜95%程度。完全に同額のケースもあります。
違法な減額
- 最低賃金を下回る給与は違法
- 大幅な減額(50%以下)は通常違法
- 違法を疑う場合は労働基準監督署へ
試用期間中の手当
- 夜勤手当: 通常通り支給
- 通勤手当: 通常通り支給
- 役職手当: 役職就任時のみ
- 住宅手当: 通常通り(規定による)
試用期間中の交通費
通勤手当として支給される。実費精算が標準。
試用期間中の社会保険
健康保険
入職日から加入。試用期間中も同じ。
厚生年金
入職日から加入。
雇用保険
入職日から加入。失業給付の対象期間にカウント。
労災保険
業務中・通勤中の事故は補償対象。
社会保険は試用期間中も完全に保障されます。
試用期間中の労働条件
勤務時間
労働基準法に従う。試用期間でも8時間労働、休憩、残業手当の権利あり。
休日
定められた休日(週休2日等)が適用。
有給休暇
入職6か月後に付与開始。試用期間中は使えないことが多い。
夜勤
通常のシフトに組み込まれる。夜勤手当も支給。
ハラスメント
セクハラ・パワハラ・マタハラから保護される。
試用期間中の解雇リスク
解雇できる合理的理由
- 業務遂行能力の著しい欠如
- 重大な勤務態度の問題
- 健康上の問題で業務継続困難
- 経歴詐称
- 著しい指示違反
不当解雇
- 「試用期間中だから」という理由だけでは解雇は無効
- 合理的理由なしの解雇は違法
- 解雇予告(30日前)または解雇予告手当が必要
解雇された場合の対処
- 解雇理由を文書で確認
- 労働基準監督署への相談
- 弁護士への相談
- 不当解雇訴訟の検討
解雇予告手当
30日前の予告がない解雇では、30日分の平均賃金が「解雇予告手当」として支給される権利があります。
試用期間中に看護師がやめる場合
退職の自由
労働者には退職の自由があり、試用期間中でも退職可能。
退職通告のタイミング
- 法律上は2週間前で可
- 一般的には1か月前(就業規則を確認)
- 引き継ぎを考慮した余裕のある期間
退職時の給与
- 試用期間中の給与は通常通り受給
- 賞与の有無は規定による
- 退職金は通常なし
試用期間中の退職と次の転職
短期離職になるため、次の転職で説明が必要。「環境とのミスマッチを早期に判断した」という前向きな整理が大切。
試用期間中にやるべきこと
やるべき1 業務の早期習得
新しい環境に早く慣れることが、試用期間を乗り越える基本。
やるべき2 人間関係の構築
プリセプター・先輩・同僚との関係を意識的に構築。
やるべき3 質問を恐れない
試用期間中は「初めてだから」と質問できる時期。遠慮せず聞く。
やるべき4 自分の評価を確認
定期的にプリセプター・上司に「自分はどうか」を確認。
やるべき5 違和感の整理
試用期間中に感じた違和感は、本採用後にも続く可能性。早めに整理。
やるべき6 健康管理
新しい環境でのストレスに対応するため、体調・メンタルを意識的にケア。
試用期間中の不安と対処
不安1 失敗が多い
新人時代と同じく、失敗はつきもの。プリセプターに相談しながら改善。
不安2 職場に馴染めない
3か月は適応期間。すぐ判断せず、6か月で再評価。
不安3 業務が覚えられない
メモを取り、復習し、質問する。1人で抱え込まない。
不安4 給与が低い
試用期間後の本採用で給与アップが標準。一時的な減額として受け入れる。
不安5 解雇されないか
合理的理由のない解雇は違法。普通に業務をしていれば、解雇リスクは低い。
試用期間後の本採用
本採用の流れ
- 試用期間終了の1か月前に評価面談
- 本採用の意思確認
- 本採用契約への切り替え
- 給与・条件の変更(該当する場合)
本採用が見送られるケース
- 業務遂行能力の不足
- 勤務態度の問題
- 病院側の経営判断
本採用見送りへの対処
- 理由を文書で確認
- 不当な見送りなら法的対応も
- 次の転職を視野に
試用期間に関する就業規則
確認すべき項目
- 試用期間の長さ
- 試用期間中の給与
- 試用期間中の評価方法
- 本採用判断の基準
- 試用期間延長の可能性
- 解雇規定
これらは入職前に必ず確認してください。
試用期間トラブル事例
事例1 給与が大幅に減額された
「試用期間中は基本給50%」という規定。最低賃金との比較を確認。
事例2 試用期間が延長された
「もう3か月延長」と言われた。延長は合理的理由が必要。
事例3 解雇予告された
理由不明確な解雇予告。労働基準監督署や弁護士に相談。
事例4 配属先が違った
入職後に「人手不足の部署に異動」と言われた。求人票・契約書と照合。
よくある質問(FAQ)
Q. 看護師の試用期間は何か月?
A. 3〜6か月が一般的です。
Q. 試用期間中の給料は?
A. 本採用の90〜95%が標準。完全に同額の病院もあります。
Q. 試用期間中に辞めても大丈夫?
A. 法的には問題ありません。次の転職で短期離職の説明が必要。
Q. 試用期間中の有給は使える?
A. 通常は入職6か月後に付与。試用期間中は使えないことが多い。
Q. 試用期間中に解雇される確率は?
A. 通常の業務を行っていれば、解雇リスクは低いです。
Q. 試用期間が延長されたら?
A. 合理的理由が必要。納得できない場合は労働基準監督署に相談。
Q. 試用期間後の本採用は確実?
A. 大きな問題がない限り、自動的に本採用。明らかな不適格でない限り。
まとめ
看護師の試用期間は、3〜6か月の本採用前期間で、給与は本採用の90〜95%、社会保険は完全保障されます。試用期間中の解雇は合理的理由が必要で、「試用期間だから」だけでは違法。
入職前に就業規則を確認し、試用期間中の給与・評価・本採用基準を把握してください。試用期間中に感じた違和感は早めに整理し、必要なら退職の選択肢も。本採用は通常、自動的に切り替わります。試用期間は不安に感じる時期ですが、合理的な制度として理解して、新しい職場での挑戦を進めてください。
関連記事
- 看護師の転職活動の流れ|準備から内定までのロードマップ
- 看護師の入職前準備|初日に持っていくものリスト
- 看護師の転職回数は何回まで?採用に影響するライン
- 看護師の求人票の見方|ブラック病院を見抜くチェック
- 看護師の引き止め対策|辞めさせてもらえない時の対処法
最終更新日: 2026-04-29
執筆: こえば編集部 看護師ライターチーム