特定処遇改善加算|月8万円アップの真実と現実
「介護福祉士の給与が月8万円アップ」——2019年10月開始の特定処遇改善加算は、介護業界に大きな衝撃を与えました。しかし実際の配分は施設により異なり、「全員が8万円もらえる」わけではありません。
この記事では、特定処遇改善加算の仕組み・配分ルール・対象になる条件・現場の実態を解説します。
特定処遇改善加算の概要
制度の目的
経験豊富な介護福祉士(リーダー級)の処遇改善で、人材の定着・キャリア形成を促進。
開始時期
2019年10月
加算対象
- 加算I取得施設(条件)
- 全職種の職員に配分(介護職員以外も含む)
リーダー級8万円の意味
リーダー級の定義
- 介護福祉士保有
- 勤続10年以上が目安
- リーダー業務経験
月8万円の実態
- リーダー級の中で限られた職員が対象
- 全員ではない
- 施設の配分ルールで決定
「全リーダー級が8万円」ではなく「リーダー級の代表的な数名が8万円」が現実です。
配分のルール
制度上の3つのグループ
グループA:経験・技能のある介護職員(リーダー級)
- 月平均8万円相当の改善
- または年収440万円以上
グループB:他の介護職員
- グループAの平均改善額の半分以上
- グループAの2分の1以上
グループC:その他の職員
- グループBの平均改善額の半分以上
- グループBの2分の1以上
配分の例
加算原資100万円の場合:
– グループA(2名):月8万円×2名=16万円(年192万円)
– グループB(10名):月3〜4万円×10名=年400〜480万円
– グループC(5名):月1〜2万円×5名=年60〜120万円
合計:年652〜792万円。実際の加算原資内で配分されます。
グループAの選定基準
法令上の基準
- 経験・技能のある介護職員
- 介護福祉士の資格を有する者
- 勤続10年以上を一つの目安
施設による独自基準
- 主任以上の役職
- 認知症介護リーダー研修修了者
- 認定介護福祉士
- 多職種連携の中心
グループAから外れるケース
- 介護福祉士未取得
- 勤続10年未満
- リーダー業務未経験
- パート・非常勤
配分の透明性
透明性の高い施設
- 配分ルールを職員説明会で公開
- 各グループの配分対象者を明示
- 配分額の根拠を説明
- 不満への対応窓口あり
不透明な施設
- 配分ルール非公開
- 経営者寄りの恣意的配分
- 説明なし
- 職員間の不満蓄積
施設選びでは、配分の透明性を確認することが重要です。
配分対象になるための条件
介護福祉士取得は必須
特定処遇改善加算のグループAに入るには、介護福祉士取得が前提。
勤続10年以上が目安
法令上は明確ではありませんが、多くの施設で10年以上が目安。
リーダー業務経験
ユニットリーダー・サブリーダー経験が評価対象。
専門研修受講
認知症介護リーダー研修・主任介護福祉士研修等の受講で評価UP。
これらを満たすことで、グループAの対象になる可能性が高まります。
月8万円アップの現実
Aさんの例(35歳・主任介護福祉士10年目)
特定加算月8万円配分対象。年収100万円アップで、550万円→650万円に。
Bさんの例(28歳・サブリーダー5年目)
グループBの対象。月3〜4万円で年収40〜50万円アップ。
Cさんの例(45歳・主任介護福祉士)
特定加算月8万円配分対象。年収100万円アップで、580万円→680万円に。
リーダー級でも経験年数・施設の方針で配分額が異なります。
配分対象外でも年収アップ
グループB・Cでもアップ
特定処遇改善加算の原資は施設に降りるため、グループB・Cの職員も部分的にアップが見込めます。
経験を積むとグループAへ
5年目→10年目→15年目と経験を積むことで、グループAへの登用機会が増えます。
介護福祉士取得・主任昇進の重要性
グループA入りには介護福祉士+主任以上の役職が事実上必須。これらの取得を計画的に進めます。
職員間の公平性問題
不公平感の発生
同じ施設内でグループAとBで月給差が大きいことから、職員間に不公平感が生まれることも。
解決策
- 配分ルールの透明化
- 職員説明会の開催
- グループ間の差を一定範囲に抑える
- 段階的な改善の説明
退職リスク
不公平感が強い施設は、グループB・C職員の離職リスクが高まります。
施設選びでのチェック
求人票での確認
「特定処遇改善加算配分対象施設」「リーダー級月○万円」など。
面接での質問
- 「特定処遇改善加算の配分ルールは?」
- 「グループA・B・Cの平均改善額は?」
- 「自分はどのグループに該当するか?」
これらに明確に答える施設は、透明性が高い優良施設です。
特定加算配分対象になるためのキャリア計画
20代:基盤作り
- 介護福祉士取得(3年目)
- サブリーダー経験(5〜6年目)
30代:リーダー職
- ユニットリーダー昇進(8〜10年目)
- 認知症介護リーダー研修
- 主任候補としての評価
40代:主任・グループA入り
- 主任昇進(10〜15年目)
- 特定加算配分対象に
- 認定介護福祉士検討
このルートで、40代前半までに月8万円配分対象を目指せます。
特定加算と他加算の違い
処遇改善加算(I・II・III)
- 全介護職員対象
- キャリアパス要件・職場環境要件
- 月1.5〜3.7万円相当
特定処遇改善加算
- 経験・技能のある介護職員に重点
- リーダー級月8万円相当
- 加算I取得施設のみ
ベースアップ等支援加算
- 全介護職員一律
- 月9千円相当
3つの加算が積み上がる施設では、月収10万円以上のアップが現実的です。
特定加算の対象外職員
パート・非常勤
施設の判断によりますが、多くの場合グループB・Cの対象。
介護福祉士未取得
グループA対象外。介護福祉士取得を目指します。
短時間勤務
時間按分で配分される場合あり。
入職1年未満
評価対象期間外で、対象外の場合が多い。
特定加算の体験談
38歳・特養10年目主任(グループA配分)
「特定加算月8万円配分対象になり、月給39万円→47万円。年収100万円アップで、家計が大幅に楽になりました。」
32歳・GHユニットリーダー7年目(グループB配分)
「リーダーだがまだ10年未満でグループB。月3万円配分で年収36万円アップ。30代後半でグループA入りを目指しています。」
45歳・有料介護リーダー(配分対象外)
「介護福祉士なしでリーダー職。特定加算配分対象外で悔しい思いをしています。来年介護福祉士取得を目指します。」
まとめ
特定処遇改善加算は、リーダー級介護福祉士月8万円相当の処遇改善制度ですが、対象になるには介護福祉士+10年経験+リーダー業務経験が必要です。グループA・B・Cの3階構造で、施設による配分ルールの差があります。
長期的に介護福祉士取得・リーダー昇進を計画的に進めることで、特定加算配分対象を目指してください。年収100万円アップが現実的に可能な制度です。
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最終更新日: 2026-04-29
執筆: こえば編集部 介護ライターチーム