特別養護老人ホーム介護職|終のすみかでの仕事
特別養護老人ホーム(特養)は、要介護3以上の重度利用者が「終のすみか」として入所する施設です。介護保険3施設の代表格で、介護職員にとって専門性の高さ・看取り介護加算・社会福祉法人運営などのメリットがあります。
特養の概要
法律上の位置づけ
老人福祉法第20条の5に基づく特別養護老人ホーム。介護保険法上の指定介護老人福祉施設。
入所基準
原則として要介護3以上(2015年4月から)。例外的に要介護1〜2でも入所可能なケースあり。
全国の特養数
約9,000施設。全国に分布。
入居期間
「終のすみか」として、長期入所が前提。看取り対応も行います。
特養の運営形態
従来型
- 30〜50床の大規模施設
- 集団ケア
- 食堂・大浴場での集団対応
ユニット型
- 10名×ユニット
- 個別ケア
- 個室標準
- 2003年以降の新設の主流
混合型
- 従来型+ユニット型の併設
特養の運営法人
社会福祉法人(主流)
- 全特養の約90%
- 公益性の高い運営
- 退職金共済加入
医療法人運営
- 医療系法人による運営
- 老健・病院併設
自治体運営
- 公立施設
- 公務員に準じた待遇
利用者層
要介護度
要介護3〜5が中心。要介護4-5の重度利用者が多数。
平均年齢
85〜90歳前後。
主な疾患
- 認知症(70%以上)
- 脳血管障害後遺症
- 心疾患・呼吸器疾患
- 整形外科疾患
- 糖尿病等の慢性疾患
介護職員の業務
身体介護
- 食事介助(週21回)
- 排泄介助(1日4〜6回×担当人数)
- 入浴介助(週2回)
- 移乗・体位変換
- 着替え・整容
観察・記録
- バイタル測定
- ケース記録
- LIFE提出データ
多職種連携
- 医師・看護・PT/OT/ST・栄養士・相談員・ケアマネ
- 多職種カンファレンス
- ケアプラン作成への参加
家族対応
- 面会時の対応
- 看取り期の意思確認
- 家族からの相談
1日の流れ
早番(7:00〜16:00)
- 7:00 起床介助・更衣・トイレ誘導
- 8:00 朝食介助・服薬・口腔ケア
- 10:00 入浴介助(火・木・土)
- 12:00 昼食介助
- 13:00 入浴介助(午後組)・休憩
- 15:00 おやつ
- 16:00 退勤(申し送り後)
日勤(9:00〜18:00)
- 9:00 申し送り・記録
- 10:00 入浴介助・体操
- 12:00 昼食介助
- 14:00 排泄介助・記録
- 16:30 排泄介助
- 17:30 夕食介助
- 18:00 退勤
夜勤(2交代制 16:30〜翌9:30)
- 16:30 申し送り
- 17:30 夕食介助
- 19:00 就寝介助
- 21:00 巡回開始
- 22:00 おむつ交換
- 0:00 体位変換
- 5:00 起床介助開始
- 7:00 朝食介助
- 9:30 退勤
夜勤体制
標準的な配置
- 30〜50名フロアに2名
- 比率15〜25:1
ユニット型
- 1ユニット10名で1名
- 比率10:1
夜勤の業務
- 巡回(2時間ごと)
- おむつ交換
- 体位変換
- ナースコール対応
- 急変時対応
- 朝食前の起床介助
看取り介護加算
加算Ⅰ・Ⅱ
- 加算Ⅰ:基本要件
- 加算Ⅱ:看取り指針を本人・家族に提示
算定要件
- 看取り介護指針の整備
- 職員研修
- 個室での対応
- カンファレンス記録
算定額
- 死亡日:1,580単位
- 死亡日前日・前々日:780単位
- 死亡日4日〜30日前:144単位
特養での看取り対応は介護福祉士の重要な業務です。
給与・年収
介護福祉士の月給
- 25〜32万円(各種手当・加算込み)
- 大手社会福祉法人で30〜35万円
年収
- 介護福祉士:380〜450万円
- 主任介護福祉士:500〜580万円
- 副施設長:550〜680万円
- 施設長:600〜800万円
賞与
- 社会福祉法人:年4〜5か月分
- 民間運営:年2〜4か月分
退職金
社会福祉施設職員等退職手当共済加入。20年勤続で500〜700万円。
特養で働くメリット
1. 専門性の高さ
重度ケア・看取り介護のスキル習得。
2. 多職種連携
医師・看護・リハ職等との連携。
3. 社会福祉法人の安定性
退職金・福利厚生充実。
4. キャリアパス
主任→副施設長→施設長への道。
5. 看取り経験
介護福祉士として最も尊い業務。
特養で働くデメリット
1. 身体的負担
重度ケアで体力消耗。
2. 看取り後の喪失感
メンタル消耗。
3. 夜勤の負担
月8〜10回の夜勤。
4. モンスター家族対応
クレーム対応の負担。
5. 業務密度の高さ
人員配置基準ぎりぎりの施設も。
特養での介護福祉士のキャリア
5年目
- 介護福祉士取得
- サブリーダー候補
10年目
- ユニットリーダー
- ケアマネ受験
15年目
- 主任介護福祉士
- 認定介護福祉士検討
20年目以降
- 副施設長
- 施設長候補
特養の体験談
28歳・特養介護福祉士5年目
「特養5年で年収420万円。看取り経験を積み、認知症ケアの専門性も向上。次はケアマネ取得を目指しています。」
35歳・特養ユニットリーダー
「ユニット10名のリーダーとして月給32万円・年収460万円。利用者一人ひとりとの関係が深く、家族からの感謝も大きい。」
45歳・特養主任介護福祉士
「主任15年経験で年収580万円。施設長候補として育てていただいています。退職金共済も20年加入。」
特養を選ぶ際のチェックポイント
1. 加算取得状況
処遇改善加算I取得。
2. 看取り介護加算
加算ⅠまたはⅡ取得施設。
3. 離職率
10%未満が優良。
4. 教育・研修制度
プリセプター・認知症研修等。
5. 福利厚生
寮・住宅手当・退職金。
まとめ
特別養護老人ホームは、要介護3以上の重度利用者の「終のすみか」として、介護福祉士の専門性が最も発揮される施設です。年収380〜450万円・看取り経験・社会福祉法人の福利厚生など、長く働ける環境が整っています。
特養での経験は、介護業界全体での専門性の証明になります。重度ケア・看取り介護に向き合いたい方は、特養を選択肢として検討してください。
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最終更新日: 2026-04-29
執筆: こえば編集部 介護ライターチーム