建設業の退職金|大手・中小・職人の差
建設業の退職金|大手・中小・職人の差
建設業の退職金は業態で大きく異なります。スーゼネは3,000〜5,000万円、中小工務店は退職金なしも珍しくない。退職金は老後資金の重要な柱。業態選びが老後の経済設計を決定します。
この記事では、建設業の退職金を、業態別・制度別・計算方法で解説します。
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目次
退職金制度の概要
主な退職金制度
- 退職一時金(企業独自)
- 確定給付年金(DB)
- 確定拠出年金(企業型DC)
- 中小企業退職金共済(中退共)
- 建設業退職金共済(建退共)
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)
業態別の傾向
- 大手: 退職一時金+企業年金
- 中堅: 退職一時金+中退共
- 中小: 中退共・建退共
- 個人事業主: 個人で準備
国税統計
- 大企業の退職金平均: 2,200万円
- 中小企業の退職金平均: 1,000万円
- 業種・職種でさらに大きな差
大手ゼネコンの退職金
スーパーゼネコン
- 大林組: 3,500〜5,000万円
- 大成建設: 3,000〜4,500万円
- 鹿島建設: 3,500〜5,000万円
- 清水建設: 3,000〜4,500万円
- 竹中工務店: 3,000〜4,500万円
退職金の構成
- 退職一時金: 1,500〜2,500万円
- 確定給付年金: 1,000〜2,000万円
- 確定拠出年金: 500〜800万円
役職別
- 主任: 1,500〜2,500万円
- 課長: 2,500〜3,500万円
- 部長: 3,500〜4,500万円
- 役員: 5,000万円〜
計算方法
- 基本給×勤続年数×支給率(数倍率)
スーゼネの退職金は業界最高水準。
中堅ゼネコンの退職金
中堅ゼネコン
- 平均: 1,500〜2,500万円
- 大手地場: 1,800〜2,800万円
退職金の構成
- 退職一時金: 1,000〜2,000万円
- 確定給付年金 or 中退共: 500〜800万円
役職別
- 主任: 1,000〜1,500万円
- 課長: 1,500〜2,000万円
- 所長: 2,000〜3,000万円
スーゼネの60〜70%水準。
中小・工務店の退職金
中小ゼネコン
- 退職金あり: 500〜1,500万円
- 中退共加入が一般的
工務店
- 大手地場: 500〜1,500万円
- 中規模: 300〜800万円
- 小規模: 退職金なし or 少額
退職金がない会社の特徴
- 中小・零細
- 経営状況の不安定
- 中退共・建退共未加入
中小・工務店は退職金がない or 少額のリスクがあります。
サブコンの退職金
大手サブコン
- きんでん・関電工: 2,000〜3,500万円
- 高砂熱学: 1,500〜2,500万円
中堅サブコン
- 1,000〜1,500万円
中小サブコン
- 500〜1,000万円
退職金の制度
- 大手: 退職一時金+確定給付年金
- 中堅: 退職一時金+中退共
サブコンは大手と中小で大きな差。
職人系の退職金
工務店勤務職人
- 退職金あり: 300〜800万円
- 退職金なし: 多い
一人親方・フリーランス
- 退職金制度なし(個人事業主)
- 自分で準備
建退共
- 建設業界共通の退職金共済
- 証紙制度
- 一人親方も加入可能
自己準備
- iDeCo
- 小規模企業共済
- NISA
- 個人年金保険
職人系は退職金が少ない or 自己責任。
退職金の計算方法
基本式
- 退職金 = 基本給 × 勤続年数 × 支給率
支給率の例
- 勤続10年: 10倍
- 勤続20年: 25倍
- 勤続30年: 50倍
- 勤続40年: 80倍
計算例
勤続38年・基本給60万円・支給率70
- 退職金 = 60万円 × 70 = 4,200万円
勤続20年・基本給40万円・支給率20
- 退職金 = 40万円 × 20 = 800万円
ポイント
- 勤続年数で大きく変動
- 早期退職はペナルティ
- 退職金規程の確認重要
税制優遇
退職所得控除
- 勤続20年以下: 40万円×勤続年数
- 勤続20年超: 800万円+70万円×(勤続年数-20)
計算例
勤続38年の場合
- 退職所得控除 = 800 + 70×(38-20) = 2,060万円
- 退職金4,200万円から控除分を引いた額の半分が課税対象
- 課税額 = (4,200 – 2,060) ÷ 2 = 1,070万円
- 所得税: 約180万円
- 住民税: 約100万円
- 手取り: 約3,920万円
iDeCo・確定拠出年金
- 60歳以降の受取
- 退職所得控除適用可能
- 自分で運用
退職金の税金は退職所得として優遇されます。
退職金がない場合の準備
1. iDeCo(個人型確定拠出年金)
- 月最大6.8万円(自営業)
- 30年で2,000万円超
- 全額所得控除
2. 小規模企業共済
- 月最大7万円
- 退職時の一時金 or 年金
- 所得控除
3. NISA(つみたてNISA・新NISA)
- 月最大10万円
- 30年で3,000万円超(運用次第)
- 運用益非課税
4. 個人年金保険
- 月1〜3万円
- 老後資金準備
5. 不動産投資
- 賃貸収入
- 老後の資産
6. 自社株購入
- 自社の株式を毎月購入
- 退職時の財産形成
職人系・個人事業主は、これらを組み合わせて老後資金を作ります。
体験談
ケース1: 大林組38年勤続→退職金4,200万円
スーゼネ部長を経て退職。退職金4,200万円+企業年金で老後資金安心。
ケース2: 中堅ゼネコン33年勤続→退職金2,000万円
中堅ゼネコン課長を経て退職。退職金2,000万円。住宅ローン完済の原資に。
ケース3: 中小工務店40年勤続→退職金500万円
中小工務店勤務。退職金500万円。iDeCoで補完して老後資金確保。
ケース4: 一人親方→自己準備3,500万円
25歳で独立、65歳まで一人親方。建退共+iDeCo+NISAで3,500万円の老後資金。
ケース5: 大手サブコン35年→退職金2,800万円
電気サブコン部長。退職金2,800万円+企業年金で安心の老後。
まとめ
建設業の退職金は、スーゼネの3,000〜5,000万円から中小工務店の500万円・退職金なしまで業態で大きく異なります。20代の業態選択が、老後の経済設計を決定する重要な要素です。
退職金が少ない・ない業態の場合は、iDeCo・NISA・小規模企業共済・建退共などで自己準備が必須。30代から計画的に老後資金を積み立てることで、業態に関わらず安心の老後を実現できます。
退職金額だけでなく、税制優遇も理解した上で、長期的な経済設計を進めてください。
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最終更新日: 2026-04-29
執筆: こえば編集部 建設ライターチーム